エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.749
2019.06.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
5月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2019」。今年も会場には多くの新製品やプロトタイプが持ち込まれ、業界関係者や自作派が台北に押し寄せた。例によってエルミタでは連日取材を敢行。これまで以上にたくさんの興味深い新製品やテクノロジーに触れる事ができた。今回はその中の1つ、Cooler MasterのミドルタワーPCケース「MasterBox CM694」(以下:CM694)をご紹介しよう。
「CM694」は、同社が最も力点を置くミドルタワーPCケースMasterBoxシリーズに属する新作。実はCOMPUTEXの開催に合わせて用意された「CM694」は事前のリークにより、爆発的セールスを記録した「CM 690 III」の後継モデルとされていた。
「COMPUTEX TAIPEI 2019」のCooler Masterブースで披露された「MasterBox CM694」。何を隠そう筆者は数年前まで「CM 690 III」を所有。”結構詳しい”を自負 |
Cooler Masterフリークならすでにお気付きだろう。そもそも「MasterBox」シリーズと「CM 690」シリーズは個別に分類されており、ネーミングからも「MasterBox CM694」が「CM 690 III」の後継では違和感がある。現時点、今後どのように棲み分けされるのか定かではないものの、市場の混乱を避ける意味でも「CM 690」シリーズは終息していくものと思われる。
Cooler Master「MasterBox CM694」シリーズ(2019年6月21日発売) 「MasterBoX CM694 TG」(型番:MCB-CM694-KG5N-S00) 市場想定売価税抜17,480円 「MasterBoX CM694」(型番:MCB-CM694-KN5N-S00) 市場想定売価税抜16,480円 製品情報(Cooler Master Technology) |
COMPUTEXのブースレポートでも触れたが、「CM 690 III」は世界中で売れた大ヒット作。多くの自作派が手にし、たくさんのBTOメーカーがベース筐体こぞって採用した。今でも需要のある製品とあって、各国のベンダーやバイヤーからは大幅なモデルチェンジを歓迎しない声が多く出たという。
初代「CM 690」のデビューは2007年で、バージョンを重ねた現行最終型「CM 690 III」は2013年にリリースされている。かつてほどの勢いが無いとはいえ、人気モデルのフルモデルチェンジには、なかなか踏み切れなかった事情がある。そんな背景を思えば、「CM694」は失敗できない、重いバトンを渡された事になる。
実機による検証を始める前に、スペック表から「CM694」の概要を掴んでおこう。外形寸法は「CM 690 III」の幅230mm、奥行き502mm、高さ507mmに対し、幅220mm(-10mm ※「TG」は幅224mm)x奥行き493mm(-9mm)x 高さ506mm(-1mm)と若干サイズダウン。ただし内部設計の最適化により対応フォームファクタはE-ATX(305x271mmまでの制限付き)、ATX、MicroATX、Mini-ITXまでサポートされている。
なおバリエーションは、左サイドパネルが強化ガラス製の「MasterBoX CM694 TG」(型番:MCB-CM694-KG5N-S00)と、フラットなスチール製パネルの「MasterBoX CM694」(型番:MCB-CM694-KN5N-S00)がラインナップされる。
その他詳細については、検証を進めながら詳しく解説していこう。なお外装パッケージサイズは幅312mm、奥行き506mm、高さ604mm、総重量12kg。ミドルタワーPCケースとしては比較的小振りだが、店頭持ち帰りにはカートの用意があれば、集中して作業を行う余力が残せるだろう。