エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.753
2019.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD「Ryzen 9 3900X」市場想定売価税抜59,800円(2019年7月7日19時発売) 製品情報(AMD) AMD「Ryzen 7 3700X」市場想定売価税抜39,800円(2019年7月7日19時発売) 製品情報(AMD) |
「COMPUTEX TAIPEI 2019」に合わせて行われた基調講演「New High-Performance Computing Technologies」では、CPUダイを2基搭載するRyzen 9の存在が初めて明らかにされた |
今年1月の「CES 2019」、5月の「COMPUTEX TAIPEI 2019」、6月の「E3 2019」と、これまで段階的に情報が公開されてきたAMDの新メインストリーム向けCPU第3世代Ryzenシリーズ。その発売が2019年7月7日(日)19時、遂に解禁された。
第3世代Ryzenシリーズでは、コンシューマ向けCPUでは初となる製造プロセス7nmの「Zen 2」アーキテクチャを採用 |
コアマイクロアーキテクチャは、製造プロセス14/12nmの「Zen/Zen+」から、コンシューマ向けCPUでは初の7nmを採用する「Zen 2」に変更。プロセスの微細化により最大TDPは105Wに据え置きつつ、コア数は最大16コア(今回発売が開始されたのは最高12コア)に、最高クロックも4.30GHzから最高4.70GHz(同4.60GHz)へと引き上げられた。またトランジスタの高密度化が可能になったことで、L3キャッシュの容量もこれまでの最大16MBから、最大64MB(8コアモデルでも32MB)へと大幅に拡張されている。
第3世代Ryzenでは、IPCは15%、浮動小数点演算処理性能は2倍に向上している他、コア数あたりのキャッシュサイズも2倍に拡張された |
さらにSIMD(Single Instruction/Multiple Data)のバス幅は128bitから256bitへ拡張され、浮動小数点演算処理性能は最大で2倍。そして内部アーキテクチャの最適化により、IPC(Instruction-per-Clock)も15%向上し、これまでやや苦手にしていたシングルスレッド処理やゲーム、AVX2拡張命令処理、マルチメディア処理などの性能が大幅に改善しているという。
第3世代Ryzenシリーズと、対抗となるIntel CPUとのパフォーマンス比較。得意とするマルチスレッド性能はもちろん、これまで苦手としていたシングルスレッド性能も、IPCの改善とコアクロックの引き上げにより大幅に上昇。ゲームパフォーマンスにも大いに期待できる |
また複数の小型シリコンダイを組み合わせて1つのCPUを構成する「チップレット」技術を採用するのも特徴だ。
第3世代Ryzenシリーズは、CPUダイ「CCD」とI/Oダイ「cIOD」を組み合わせる「チップレット」技術を採用 |
元々は「CES 2019」でアナウンスされた次世代EPYCこと「ROME」に合わせて発表された技術で、最大8コアのCPUダイ「CCD」は、最新かつ高価な7nmプロセスで、微細化があまり必要ないメモリやインターフェイスを担うI/Oダイ「cIOD」は、技術的に成熟して安価な12nmプロセスで製造。これらのシリコンダイをAMDの独自インターコネクト技術「Infinity Fabric」で接続することで、1つのCPUとして動作するように設計されている。
第3世代Ryzenシリーズでは、最大2基の「CCD」を搭載できるが、2基搭載しているのはRyzen 9のみ。Ryzen 7以下のCPUはいずれもシングル構成だ |
ちなみに第3世代Ryzenシリーズでは、「CCD」は最大2基まで接続可能。これまでAMD Ryzen Threadripperや、Intel Core Xなどハイエンドプラットフォームの導入が必要だった最大16コアのメニーコア構成を、メインストリーム帯で実現することに成功しているワケだ。
「Zen 2」採用モデルとして、まず発売が解禁されたのはRyzen 9が1モデル、Ryzen 7が2モデル、Ryzen 5が2モデルの計5モデル |
第1弾として発売が開始されたのは、2ダイ構成で12コア/24スレッドの「Ryzen 9 3900X」を筆頭に、1ダイ構成で8コア/16スレッドの「Ryzen 7 3800X」「Ryzen 7 3700X」、同じく1ダイ構成で6コア/12スレッドの「Ryzen 5 3600X」「Ryzen 5 3600」の計5モデル。いずれもメモリはデュアルチャネル対応のDDR4-3200MHzで、プラットフォームは従来どおりSocket AM4をサポートする。なお各モデルのスペックは以下の通り。
またこれまでと同じ12nmプロセスを採用するAPUとして「Ryzen 5 3400G」「Ryzen 3 3200G」も発売開始。さらに9月にはフラッグシップモデルとなる16コア/32スレッドの「Ryzen 9 3950X」が登場する予定だ。