エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.957
2021.01.29 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
Antecの新作「P10 FLUX」は、一連の”FLUX3兄弟”としては最後に投入された、いわば本命。そう言わしめる理由は、Antecの代名詞である「Performance」シリーズに属し、同社が最も得意とする静音志向を前面に押し出している点だろう。自作PC史上に残る名機「P180」の面影を残す外観デザインは、今日まで脈々と受け継がれている。
主な特徴を並べてみれば、音漏れを防止する前面の開閉ドアや、最小限の範囲で設けられた通気孔、さらに内部の要所には防音パネルを貼り付け、静音志向の要素をふんだんに盛り込まれている。「P7 Silent」や「P101 Silent」に通ずるスタイルは、Antec好きな自作派の期待値を大きく跳ね上げる事になるだろう。かく言う筆者もかつての「Performance」シリーズ所有者として、大いに注目している。
Antec「P10 FLUX」 市場想定売価税込11,480円(2021年1月30日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
本題に入る前に兄弟モデルの特徴を振り返ると、「DF600 FLUX」(2020年9月検証)は「Darkfleet」シリーズに属するエアフロー重視型で、「DP502 FLUX」(2020年12月検証)は「Dark Phantom」シリーズに属し、ゲーミングや魅せる要素を備えつつ実用的なモデルに仕上げられている。これらは全て共通筐体を採用し、装備品(主に冷却ファン)や外観デザイン(特にフロントパネル)にそれぞれの個性を持たせ、一連の”「F-LUX PLATFORM」計画”が完結する事になる。
DF600 FLUX | DP502 FLUX |
シンプルな外観に早くも好印象な「P10 FLUX」だが、実機による検証を開始するにあたり、まずはスペック表に目を通しておこう。対応マザーボード規格はATX、MicroATX、Mini-ITXで、外形寸法は幅220mm、奥行き477mm、高さ486mmとされる。特に奥行きと高さが500mm以下に収められているところから、最もライバルが多い中型ミドルタワーPCケースである事が分かる。
なお詳細な記載は省略されているが、材質はシャーシを含む主素材がスチール、フロントパネルや台座部分等の副素材にはプラスチックが使用されている。なお重量は約7.55kgで、こちらも突出した数字ではない。ちなみにパッケージサイズは幅285mm、奥行き525mm、高さ540mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は8.6kgとされる。店頭購入での持ち帰りは可能だろう。