エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1160
2022.06.26 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
今回取り上げるのは、いまや総合パーツメーカーとして多分野に股をかけるMSIのゲーミングマウスだ。そもそもMSIがデバイス分野に進出したのは、主要カテゴリが充実し切った2012年のこと。当然ながらデバイスメーカーとしては後発の部類で、最初にリリースしたマウスラインナップは「DS」シリーズと名付けられた。だいぶ安価なゲーミングマウスだったようで、もう公式サイトにその痕跡を見つけることはできないが、ひょっとしたらかつて使ったことがあるというユーザーもいるかもしれない。
秋葉原のパーツショップでも販売されている、MSIのゲーミングマウス。主要モデルは実際に手に取って感触を確かめることができる |
その後順調にセールスを伸ばしていったMSIのデバイス分野にて、ステップアップの契機になったのは、2018年に登場した新しい「GM」シリーズ。その最初のモデルは現在も販売が続いている「CLUTCH GM50」で、当時としては軽量な87gのボディと、ゲーミングモデルらしい鮮やかなRGB LEDの透過エンドを備える。台湾本社のプロダクトマネージャーが「思い切った重量軽減やダイナミックなLEDなど、まだマーケットの主流ではなかったことにチャレンジした意欲作。いま振り返っても、方向性は間違っていなかった」と語る、MSIマウス開発におけるマイルストーン的モデルだ。
その後市場のトレンドが70gを下回る軽量マウスに移っていくと、本格派の軽量モデル「CLUTCH GM41 LIGHTWEIGHT」がデビュー。優れた性能とコストパフォーマンスの高さから大ヒットになった。そしてその成功を下敷きにして登場したのが、MSI初の軽量ワイヤレスマウスである「CLUTCH GM41 LIGHTWEIGHT WIRELESS」だ。ベースモデルの完成度が高く価格も手頃であり、ワイヤレス化により使い勝手も向上。昨年5月の発売以来、ラインナップ中でトップの人気モデルになっている。
本社のプロダクトマネージャーがマイルストーン的モデルとして挙げたのが「CLUTCH GM50」。チャレンジ志向な開発コンセプトが盛り込まれ、そのマインドは最新製品まで受け継がれている | MSI初の本格的な軽量マウスとしてリリースされた「CLUTCH GM41 LIGHTWEIGHT」。高品質ながら手頃な価格で購入できるとあって、コスパ重視のユーザーに大いにウケた |
ちなみに初めてワイヤレスのゲーミングマウスを手がけるにあたり、ベースの有線モデルからゲーミンググレードの品質を維持できるのか、入念に検討が繰り返されたという。特にワイヤレス通信の品質については最優先事項で、その最適化と検証には実に1年以上をかけることになったとか。最終的に、複雑な干渉のある環境下でも業界最高水準の接続品質が確認され、発売されるに至った。
こうした開発コンセプトが貫かれているのは、MSIがデバイス分野において何より安定性を重視しているため。「ミリ秒単位で勝敗が決まるゲーミングの世界において、安定性は何より勝利の鍵になる」(プロダクトマネージャー)というマインドがあり、その道具であるゲーミングデバイスには安定性が担保されていなければならない、という考えだ。
デバイス開発で最も重視しているという安定性が特に問われたのは、MSI初のワイヤレスゲーミングマウスとして発売された「CLUTCH GM41 LIGHTWEIGHT WIRELESS」だった |
それは何も通信に関することだけではなく、設計全般に言えること。マウスを持ち上げる際の滑りにくさを考慮して(ラインナップのほとんどが)二段成型素材で構成されているほか、底面の滑らかさや脇役になりがちなサイドボタンの感触に至る細部まで、安定したパフォーマンスを発揮できるよう配慮されている。そのための開発と検証には実に多くの時間が費やされており、こうした安定性へのこだわりがMSIゲーミングマウスの根本を支えているというわけだ。
さて今回は、そのゲーミングマウスの主要ラインナップから、いまチェックすべきイチオシを5モデルピックアップ。次項からモデル別に詳しく紹介していこう。